若手技術者応援コラム 技術力向上への道 Vol.3


ライター:床並 英亮氏

施工管理のうち「工程管理」について

前回のコラムVol_2では、施工管理全般についてのお話しをしましたが、
今回は施工管理のうち「工程管理」について、もう少し詳しく解説してみましょう。

工程管理の目的とは?

上記に示すとおり、工程管理の目的は「契約工期内で構造物を完成させる」ことです。
契約工期とは、発注者側で設定された工期です。例えば来年の3月までが契約工期なら、10月から着工したとし3月までの6か月内で工事を終わらせる工程計画(施工計画)を立案しなければなりません。

計画工程(施工計画)立案時の留意事項

施工計画の際、工事の場所にマッチした建設機械の規模や台数、想定される職人数などをもとに計画工程を立案します。

少なすぎては契約工期内に工事が終わりませんし、多すぎてもコストアップにつながり原価を圧迫します。よって、最適な機械と人員計画をもとに計画工程を作成する必要があります。

作成する工程表の種類を知っておこう

 計画工程の骨子がまとまれば、今度は工程表をつくる作業に移行します。
ただし、以下のように工程表には多くの種類があり、それぞれ読み取れる内容も異なります。計画工程の立案者は、これら各工程表の長短所を理解し適材適所の種類を選択して作成すると工程管理を行いやすくなります。

1.横線式工程表

①バーチャート式工程表
 縦軸に作業名、横軸に作業に必要な日数を示した工程表がバーチャート式の特徴です。
 容易に作成することができ週間工程表など短期間の計画工程表に適しています。

②ガンチャート式工程表
 横軸に達成率(出来高)を示す点が、バーチャート式とは異なります。
 各作業の進行状況の把握に適した工程表です。

③斜線式(座標式)工程表
 縦軸に工期(日数)、横軸に距離をとり斜線で示した形式の工程表です。
 延長が長いトンネル工事や工区を区切り同じ方向に同時進行していく(地盤改
 良工等)などに適した工程表です。

2.曲線式工程表

①グラフ式工程表
 縦軸に達成率(出来高)、横軸は時間をとり、工種ごとの進捗度や施工速度を把握できる工程表です。

②出来高累計曲線(通称、バナナ曲線)式工程表
 縦軸に達成率(出来高)、横軸に時間をとり、施工量の時間的変化を表した工程表です。
 管理すべき範囲を示す上下の工程管理曲線(バナナ曲線)の中に実際の工事進捗が収まる
 ように施工速度の調整を行います。
 原価管理を行っている所長さんが会社に行う報告書などでよく使用されています。

3.ネットワーク式工程表

 すべての作業間のつながりと所要日数を把握できる工程表です。
 下図は、ネットワークの一部を抜粋したものですが、このようなネットワークが縦軸に
 多数表示された工程表です。作成する難易度は高いですが、すべての情報を把握できる
 優れモノです。最近は、作成ソフトもあるので変更が生じた際の修正等も簡単に行える
 ようになっています。工種が多い大規模工事では非常に有効な工程表です。

各種工程表の特徴をまとめると以下のとおりです。

計画工程をもとに実施工程との対比調整が工程管理です

実際に工事が進捗していく中で、どうしても計画工程どおりに進まないケースも
出ていきます。

その際、

  • 実施工程を計画工程に戻すように調整するか?
  • 計画工程自体を見直すか?

は、工程管理を行っている現場監督の重要な任務になってきます。
また、これら調整業務を工程管理といいます。

若手技術者はバーチャート式工程表から作成してみよう

先ほど説明したとおり、工程表には多くの種類がありますが、まずは作成することが容易なバーチャート式工程表から作成し、週間工程会議などを通して、協力業者さんたちと工程調整をしてみるといいでしょう。

国家資格の施工管理技士受験を通して、施工管理業務の基礎を学ぼう

施工管理業務の基礎をもっと具体的に学びたい方には国家資格である(土木)施工管理技士の受験が最適です。次回は、土木施工管理技士という資格について掘り下げていきたいと思います


床並 英亮氏プロフィール

大学卒業後、大手マリコンで11年間、土木技術者として現場施工管理及び積算業務に従事する。
その後、地元の政令指定都市に転勤後約5年間、工事の設計の発注業務に従事し39歳で独立起業する。
独立後は、人材教育事業を主力に建設業の担い手確保活動に献身している。1級土木施工管理技士と技術士(建設部門)の社員教育も手掛けている。


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