ライター:労働衛生コンサルタント 村木宏吉
1.はじめに
平成31年(2019年)4月1日、新たな在留資格が設けられました。特定技能1号と特定技能2号です。
我が国の人口減に対し、労働力確保のために外国人労働者を受け入れる政府の方針が確定し、新たな在留資格が設けられました。建設業従事者の減少に対し、適切な受入れが必要です。

https://www.mlit.go.jp/common/001290116.pdf
2.外国人労働者の受入れ
外国人とは、我が国の国籍を有しない方のことです。外国人が本邦で就労するためには、適切な在留資格が必要です。
まず、日本人の配偶者若しくは特別養子または日本人の子として出生した者は就労制限がありません。また、永住者とその配偶者も、就労制限がありません。
次に、永住者等の配偶者または永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者も、同様です。
現在、外国人が本邦で就労できる在留資格としては、次のようなものがあります。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
高度専門職 | ポイント制による高度人材 | 1号:5年、2号:無期限 |
企業内転勤 | 外国の事業所からの転勤者 | 5年、3年、1年又は3月 |
技能 | 外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機の操縦者,貴金属等の加工職人等 | 5年、3年、1年又は3月 |
技能実習 | 技能実習生 | 第1号:法務大臣が個々に指定する期間 (1年を超えない範囲) 第2号:法務大臣が個々に指定する期間 (2年を超えない範囲) 第3号:法務大臣が個々に指定する期間 (2年を超えない範囲) |
研修 | 研修生 | 1年、6月又は3月 |
これらのほかに在留資格は多数ありますが、観光や国際会議への出席などの「短期滞在」では就労はできません。
3.新たな在留資格
特定技能1号と2号は、次のようなものであり、技能実習生が監理団体(いわゆる組合)を通じて雇入れ、一定の監理を受けるのに対し、独立した労働者として直接企業が雇い入れることができるものです。
また、技能実習生は在留期間の延長ができないことから、在留期間満了後は帰国しなければなりませんでした。
これに対し、特定技能1号は、技能実習修了後引き続き5年間継続雇用ができます。また、特定技能2号は、配偶者と子の帯同が認められ、在留期間の更新の限度がないことが特徴です。
技能実習生から特定技能1号への移行も、試験を受けることで可能となります。試験は、日本語と技能の両方について行われます。
(1)特定技能1号
- 技能検定3級相当以上の技能と日本語能力試験N4以上の能力を有していること。
- 在留期間は1年ごとの更新で最長5年間。
- 技能実習(2号で3年、3号で5年)修了後、引き続き5年間、雇用継続できます。技能がさらに熟練すれば、特定技能2号に移行することで在留期間の更新上限がなくなります。
- 既に帰国後の技能実習修了者も、再度呼び寄せて直接雇用することが可能です。
- 技能検定1級相当で、班長経験を1~3年間有する者は、在留期間の制限なく、日本人と変わりなく、就労が可能となります(特定技能2号へ移行)。
- 支援計画に基づく企業による支援のほか、適正就労監理機関による巡回指導の受入れ等が義務付けられます。企業の受入体制の状況に応じて、外国人の支援の全部又は一部を登録支援機関に委託することもできます
(2)特定技能2号
- 職長クラスの技能と経験を有していること。(建設キャリアップシステムのレベル3以上。)
- 監理団体を通さずに直接雇用できます。
- 既に帰国後の技能実習修了者も、再度呼び寄せて直接雇用することが可能です。
- 在留期間は制限なく更新が可能となります。日本人と変わりなく、就労が可能となります。
- 配偶者と子供の帯同が認められ、就労や生活面での支援などの義務がありません。
- 特定技能雇用契約に基づく在留である限り、ずっと日本で就労することが可能です。
注意点!
特定技能で雇用している外国人労働者については、賃金などの労働条件が、同じ仕事をしている日本人と同等であるようにすべきです。なぜなら、団体などを通さずに、一人の独立した労働者として直接雇用していますから、労働条件が日本人より低いとなると、労働条件が見劣りしない他の雇用先を見つけて退職してしまう可能性が高いからです。
なお、最近の報道によれば、特定技能での在留カードの偽造品が現れているということと、日本語試験の合格証にも偽造品が現れているということですので、ご注意ください。
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